AKI-H8/3052用スタートアップルーチン
アセンブリソース「startup.src」
Copyright(C) 5July2002
Copyright(C) 26Dec2001
coskx
TNCT
【1】スタートアップルーチンアセンブリソース「startup.src」
このスタートアップルーチンはAKI-H8/3052をWindowsマシンでクロスコンパイルして使用している初心者向け環境で使用されているものです。
スタートアップルーチンとは,マイコンの電源ONと同時に起動し,必要な処理を行なって,Cで記述された関数main()をcallするまでの作業を行なうプログラムです。
基本的なスタートアップルーチンの役割は
(1)リセットベクトルの設定 [A]
(2)スタックポインタの設定 [B]
(3)必要なROM領域のRAM領域変数へのコピー [C]
(これはリンカスクリプトのROM(D,X)と連動しています)
(4)関数main()の呼び出し [D]
です。
これに次のものを付け加えます。
(1)マシン語でないと記述できないCPU割り込み許可関数 [E]
(2)マシン語でないと記述できないCPU割り込み禁止関数 [F]
さらに初心者向けにタイマ割り込みをサポートするために
(1)ITU1のコンペアマッチ割り込みベクトルの設定 [G]
(2)割り込み割り込み関数のレジスタ退避部 [H]
(3)割り込み要因クリア [I]
(4)割り込み割り込み関数のレジスタ復帰部 [J]
【2】本スタートアップルーチンの特徴
(1)初期化されたグローバル変数,関数内static変数を,実行時にはRAMに割り当てて
正常に動作させるようにしました。
(2)ITU71のタイマ割り込みの利用をサポートします
(3)関数main()から戻ってきても,無限ループに入るようにしました。
(4)CPUのコントロールレジスタのCCRでの割り込みマスクビットのセット・リセット関数をCプログラムに提供します。
E_INT()
割り込み許可
D_INT() 割り込み禁止
【3】本スタートアップルーチンを利用した場合のプログラム中での変数の取り扱い
(1)初期化されていないグローバル変数 RAM領域
(2)初期化されたグローバル変数 RAM領域
(3)初期化された関数内static変数 RAM領域
(4)const修飾子のある初期化されたグローバル変数 ROM領域
(5)const修飾子のある初期化された関数内static変数 ROM領域
オート変数はconst修飾語をつけてもスタック領域にセットされ,値の変更をコンパイラがチェックするだけです。(値をプログラム中で変更するとコンパイルエラーとなる。)
大きな定数表(配列)をグローバル変数で与えるときにはconst修飾子をつけるとROM領域に割り当てられ,少ないRAMしか持たないH8のRAM節約になることを意味します。(関数内で大きな定数表(配列)を与える場合はconst
staticにすればよい。)
【4】スタートアップルーチン「startup.src」のソース
;************************************************************************ .IMPORT _main, _interrupt_cfunc .EXPORT _E_INT,_D_INT TIER1 .EQU H'FFFF70
.ORG H'000070 ;IMIA1 ;ITU1のIMIA割り込みを割り込みルーチンに送っておく
.SECTION P,CODE,ALIGN=2 ;move Section D
to Section X ;fill 0 to
Section B JSR
@_main ; Call
main() .SECTION
P,CODE,ALIGN = 2; .SECTION
P,CODE,ALIGN = 2;
BCLR #0,@TIER1 ;割り込み停止 BSET #0,@TIER1 ;割り込み再開
POP.L ER6 ; 割り込み停止,Clear
IMFA,割り込み再開をここに書いておくことにより
.SECTION D,DATA,ALIGN=2
.SECTION C,DATA,ALIGN=2 |
|
H8/3052のモード7動作(AKI-H8/3052)でのアドレス空間は1Mbyteなので,16進数で5桁である。6桁表示の部分の上位1桁は無視される。
【5】オブジェクトファイル「startup.obj」の作り方
次のコマンドで「startup.src」から「startup.obj」を作る。
>a38h startup
H8/300H ASSEMBLER
(Evaluation software) Ver.1.0
*****TOTAL
ERRORS 0
*****TOTAL
WARNINGS 0
【6】リンカオプションを記述したSUBファイルの例
OUTPUT xxxxxx
PRINT xxxxxx
INPUT xxxxxx
INPUT c:\Progra~1\h8\c\startup
LIB c:\Progra~1\h8\c\c38hab
ROM (D,X)
START P,C,D(100),X,B(0FDF10)
EXIT
「ROM (D,X)」の指示でSECTION DとSECTION Xが結び付けられる。
「START P,C,D(100),X,B(0FDF10)」では,セクションP,C,Dを0x100から連続して配置し,セクションX,Dを0xFDF10から連続して配置することを示している。
各セクションの意味は次の通り
SECTION
A............................アブソリュート領域(このスタートアップルーチンのみで使用)
SECTION
P............................プログラム領域(Cで記述したプログラムのオブジェクトもここに入る)
SECTION
C............................コンスタント領域(Cで記述したプログラムの,constのついたグローバル変数とconstのついたstatic変数はここに入る)
SECTION
D............................データ領域(Cで記述したプログラムの,初期化されたグローバル変数のROM割り当て領域[初期化時にのみ使用される])
SECTION
X............................データ領域(Cで記述したプログラムの,初期化されたグローバル変数のRAM割り当て領域[実行時にのみ使用される])
SECTION
B............................データ領域(Cで記述したプログラムの,初期化されていないグローバル変数のRAM割り当て領域)