ESP32S3+温度センサBMP280とiOSデバイスとの UartBLE通信

2026.4.17 2023.9.28 Coskx Lab  

注意

ボードライブラリ「ESP32 by Espressif Systems Ver3.3.6」ではBLE関連のライブラリが動作不調になりましたが,「ESP32 by Espressif Systems Ver3.3.7」で解消されました。
これによって,標準ライブラリのBLEが舞台裏でNimBLEに変更されています。
20260218

1 はじめに

温度センサBMP280を載せたWi-FiマイコンXIAO ESP32S3からiPhoneなどのiOSデバイスに向けてBLE(Bluetooth Low Energy)を使って温度情報を送ります。
Wi-FiマイコンとiOSデバイス間の通信は無線LAN環境の下ではHTTPでの通信ができますが,無線LAN環境がない場合では,Bluetooth通信が便利です。
XIAO ESP32S3はBLE UART Profileを使って通信します。(Bluetooth Classicではありません。)


BLEコネクション通信では,Central(or Master or Observer)とPeripheral(or Slave or Broadcaster)の間で通信が行われます。
ここでは,iOSをCentral,XIAO-ESP32S3をPeripheralとして使うことにします。
(PeripheralはServer,CentralはClientと説明されることもあります。)

なお,ここで使用するiOSのアプリ"Bluefruit Connect"はアプリ起動の度に,通信相手を探して接続するようになっているため,ペアリングを必要としていません。 (Peripheral側がペアリング・ボンディングを要求する設定になっている場合は,Central側の通信アプリが接続動作の際にCentral側の設定機構がペアリング・ボンディングを行ないます。)

2 使用環境

3 準備

3.1 ArduinoIDE

(1)Arduino IDEのメニューバーから[ファイルFile] -> [環境設定(Preferences)]
Additional board manager URLsに
https://files.seeedstudio.com/arduino/package_seeeduino_boards_index.json
および
https://raw.githubusercontent.com/espressif/arduino-esp32/gh-pages/package_esp32_index.json
を設定してOK
(2)ツール[Tools] > ボード[Board] > Boards Manager
検索boxに「ESP」を入力すると複数のボード候補が出てくるので
esp32 by Espressif Systems
をinstall
(3)ツール[Tools] > ボード[Board]でESP32を探すとXIAO ESP32S3が見つかるので,これを選ぶ。

3.2 XIAO ESP32S3

XIAO ESP32S3の説明書を読んでプログラムの転送方法を確認します。
(USBケーブルでつないで書き込むだけでした。)

4 XIAO ESP32S3と温度センサBMP280の配線

温度センサBMP280は温度をデジタル値に変換しているので,そのデータをXIAO ESP32S3が読み出します。
XIAO ESP32S3と温度センサBMP280はI2C接続ですので,電源線,GND線の他はSCLとSDAの2本のみで通信できます。

CSBをVCCにつなぐとBMP280はI2C接続になります。(データシートによれば確実にVCCにつなぐべきとなっています)
SDO(シルク印刷は間違えていてSDDとなっている)をVCCにつなぐとBMP280のI2Cアドレスは77になります。GNDにつなぐとBMP280のI2Cアドレスは76になります。Groveライブラリのデフォルトは77なのでVCCにつないでいます。

なおBMP280ではSDA,SCLをpullupせずに動作しています。

   XIAO ESP32S3と温度センサBMP280の配線

ブレッドボードには載せないので,XIAO ESP32S3のピンを上向きに付けています。
   XIAO ESP32S3と温度センサBMP280

5 XIAO ESP32S3のスケッチコード(Peripheralプログラム)

XIAO ESP32S3のスケッチコードは,centralがAndroidデバイスであってもWindowsPCであっても同じものを使っています。
  Androidデバイス版の解説
  WindowsPC版の解説

プログラムの概要
central(iPhoneなど)からのリクエストで,PeripheralであるXIAO ESP32S3は,温度センサBMP280の値を取得し,centralに返します。
具体的には,XIAO ESP32S3はcentral(iPhoneなど)から文字列"start"を受け取ったら1秒間隔で温度などのデータをcentralに送信し,文字列"stop"を受け取ったら送信をやめるようにします。

説明
BLE UART通信ですが,やりたいことは,BMP280の値を取得し送信することですので,BLEの煩雑な部分は,クラスHandy_BLE_Uartに任せて舞台裏に隠れてもらいます。
このプログラムでは受信時にやるべきことを記述した関数は,void StringReceptionReport(String str)としました。送られてくるstrが受信した文字列です。 (受信時にやるべきことを記述した関数の名前は別のものでもOKです)
やるべきこととは,「start」「stop」によりブール変数「requested」のtrue falseを切り替えることです。
ESP32S3側が送信するときは,関数transferString()を使います。

#define DEVICENAME "UART-B0"
は自分の名前です。通信相手のiPhoneスマホなどから見つけてもらう名前です。初期化の時点で決定します。

このプログラムではBLE通信の面倒なところをクラスHandy_BLE_Uartにして別ファイルに書いています。

クラスHandy_BLE_Uartの定義は「Handy_BLE_Uart.h」と「Handy_BLE_Uart.cpp」に書かれています。
ダウンロード,解凍して次のプログラムコードBLE_uart_BMP280.inoと同じフォルダに入れてください。

  Handy_BLE_Uartのダウンロード

フォルダBLE_uart_BMP280にプログラムBLE_uart_BMP280.ino,Handy_BLE_Uart.h,Handy_BLE_Uart.cppを入れたところを示します。 そうすると,ArduinoIDEの画面の上部ににそれぞれのファイル名が表示されるようになり,クリックするとArduinoIDEでファイルの中を見ることができます。

なお,ペアリング・ボンディングを要求したい場合は,プログラムBLE_uart_BMP280.inoの初期化のときに
bleuart.begin(DEVICENAME, true);
ではなく
bleuart.begin(DEVICENAME, true, 123456);
のように6桁のパスキーを追加します。(パスキーは必ず6桁の数です。)

Arduino IDEでコンパイルするときは,ライブラリ"Grove_-_Barometer_Sensor_BMP280"を予めIDEに追加しておいてください。


   BLE_uart_BMP280.inoのプログラムコード

//BLE_uart_BMP280.ino
//XIAO-ESP32S3

#include <Handy_BLE_Uart.h>
#include "Seeed_BMP280.h"

#define DEVICENAME "UART-B0"
#define INTERVAL 1000 //millisec

Handy_BLE_Uart bleuart;
BMP280 bmp280;

void setup() {
  Serial.begin(115200);
  delay(300);

  //start BMP280
  if(!bmp280.init()){
    Serial.println("Device bmp280 error!");
  }

  //受信時に呼び出されるコールバック関数の登録 必須
  bleuart.setCallbackFunc(StringReceptionReport);
  //接続時にCentralに送信するメッセージの設定 必要があったら
  bleuart.setInitialMessage("send me 'start' or 'stop'");
  //初期化 (パスキーによるペアリングを行う場合は6桁(必ず6桁)のパスキーを付ける)
  //引数:自分のデバイス名登録,受信文字列のエコーバックの有無,(パスキー)
  bleuart.begin(DEVICENAME, true);
  //bleuart.begin(DEVICENAME, true, 123456);
  delay(1000);
}

bool requested = false;
bool justrequested = false;

void loop() {
  static int currenttime = 0; //millisec
  static int previoustime = 0; //millisec
  if (bleuart.isConnected()) {
    //Centralに接続中の場合
    if (justrequested) {
      bleuart.transferString("tempreture[degC], pressure[hPa], altitude[m]");
      justrequested = false;
      previoustime = millis(); //elapsed time(ms)
    } else if (requested) {
      currenttime = millis(); //elapsed time(ms)
      if (INTERVAL <= currenttime - previoustime) {
        previoustime += INTERVAL;
        float tempreture = bmp280.getTemperature();
        float pressure = bmp280.getPressure();
        float altitude = bmp280.calcAltitude(pressure);
        char string0[256];
        sprintf(string0, "%.1f, %.0f, %.2f", tempreture, pressure/100.f, altitude);
        bleuart.transferString(String(string0));
      }
    }
  } else {
    requested = false;
  }
  delay(1000);
}

//受信時に呼び出されるコールバック関数
void StringReceptionReport(String str) {
  Serial.println("RX_Value = " + str);
  if (str.indexOf("start") == 0) {
    requested = true;
    justrequested = true;
  } else if (str.indexOf("stop") == 0) {
    requested = false;
    justrequested = false;
  }
}

6 iOSデバイスアプリとXIAO ESP32S3のペアリング

◎このプログラムコードではペアリング作業は不要です。

7 iOSデバイスアプリ"Bluefruit Connect"の準備

App Storeから,iOSデバイスに"Bluefruit Connect"をダウンロードしてインストールします。

  "Bluefruit Connect"のアイコン

8 XiaoESP32S3と"Bluefruit Connect"の通信

先にXiaoESP32S3に電源を与え,立ち上げておきます。

  "BMP280が接続されたXIAO ESP32S3(紙のアンテナがついています。)

その後,その後,iOSデバイスの"Bluefruit Connect"を立ち上げると最初にSelect Deviceの画面になります。
ここでは,XiaoESP32S3のプログラムの
   #define DEVICENAME "UART-B0"
でつけた名前"UART-B0"が見つかるのでこれをタップします。

  Bluefruit Connectデバイス選択画面

次にModulesと書かれたモジュール選択画面になりますので,UARTを選択します。

  Bluefruit Connectモジュール選択画面

"Bluefruit Connect"から"start"を送信すると,1秒ごとにデータが送信されてきます。
受信した3つの数値は温度[℃],気圧[hPa],標高[m]を表しています。
"Bluefruit Connect"から"stop"を送信すると,データ送信が止まります。
"Bluefruit Connect"から"start"や"stop"を送信するときは,画面下部のテキストボックスに入力して送信ボタンをタップします。


    Bluefruit Connect通信画面

画面上の送受信データの表示形式は,右上メニューからDisplay Modeで切り替えられます。
(time stamp付きの表示もできます。)

画面上の送受信データのファイルへの保存は,右上メニューからExportで出来ます。
保存形式をcsvにするとtime stamp付きでの保存になります。

9 まとめ

マイコンXIAO ESP32S3とiOSデバイスでBLE Uart通信し,iOSデバイスからの指令によって温度などのデータをXIAO ESP32S3が送るプログラムを示しました。

XIAO ESP32S3側のプログラムでは,BLE通信の面倒なところは,クラスHandy_BLE_Uartに封入して,データ送信部分に専念したプログラムコードに集中できるようにしました。

この記事ではiOSデバイスのアプリ"Bluefruit Connect"を使いました。
Androidデバイスにもアプリ"Bluefruit Connect"があり,iOS版"Bluefruit Connect"と同じ使い方ができます。
WindowsPCにも同様なアプリ"BLE_serial_terminal"があり,同様の使い方ができます。
  Androidデバイス版の解説
  WindowsPC版の解説